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新しい視点で魚を科学する 水産生物学研究室

研究項目Research Subjects

       
 細胞工学的研究

 キメラとは二つ以上の系統あるいは種の細胞からなる生物個体をいいます。人工キメラは初期胚細胞の移植,胚盤葉融合等により作出できます。キメラ作製技術は,発生に伴う遺伝子発現機構といった生物学の基礎分野,ならびにES細胞を経由するトランスジェニック魚の作出や生殖系列キメラ形成による種の保存などの応用分野に活用できます。
  魚類の種内変異についての研究
 同種の魚でも、遺伝子や形態が地理的にあるいは雌雄で異なることがあります。そのような変異を明らかにすることは、進化や種分化の過程を明らかにするために、あるいは適切な資源管理を行うために大変重要です。海産魚類を中心に、形態学的および遺伝学的手法を用いて、種内変異や集団構造についての研究をしています。
  細胞遺伝学的研究

 バンディング技術の開発、FISH法、細胞培養法および免疫細胞遺伝学的手法の導入によって染色体の詳細な分析が可能となりました。これらは魚類の染色体研究にも取り入れられつつあります。核型分析の他、性染色体による性決定様式や性染色体の分化を解明します。また、小核試験や染色体異常の検出により変異原分析を行います。
       
比較発生学・生殖細胞と性分化に関する研究
□性分化機構・生殖細胞 形成機構の解明に向け た基礎的研究
性分化機構と性統御に 関する研究
□内分泌器官の発生と細 胞機能分化に関する研 究
□生殖細胞形成機構に関 する研究
  遺伝子工学的研究

 様々な魚類の遺伝子の構造が明らかにされつつあります。これらの遺伝子を外来遺伝子として導入発現させることにより、遺伝子発現系解析を行うための実験系統の作出や環境監視バイオセンサーへの応用を検討します。
  水産生物の資源生態学的研究
 水産生物の資源を適切に管理するためには、生態学的基礎情報が不可欠です。耳石や鱗を用いた年齢と成長・成熟の関係の解明等、様々な水産生物について資源生態学的研究を行っています。
       
魚類の系統学的・進化学的研究
 現在の多様な魚類は、どのような歴史を経て分化してきたのかを解明するために、分子生物学的手法を用いて系統類縁関係の推定を行っています。また、推定された分子系統関係を基に、形態の進化についても調べています。
  DNA多型情報解析

 本研究は、乱獲や開発によって失われつつある魚の遺伝的多様性の保有状況を把握するのに役立ちます。また、この多型判定によって、形態的に種判別が困難な卵・仔稚魚の段階での魚種の同定が可能になります。この点は仔稚魚期の生態や、品種の遺伝的分化の解明を可能にします。
  染色体操作研究

 染色体操作は,配偶子の遺伝的不活性化と発生卵の染色体倍数化とを組み合わせて,三倍体,雌性発生二倍体,雄性発生二倍体,四倍体,複二倍体等を作出する技術です。これらの技術は性成熟の抑制や性統御,有用系統や実験動物の作出などに応用できます。これらの作出技術を開発するとともに、各操作にともなう核の行動や分裂装置の形成機序,雌性発生や雄性発生によって作出された魚の近交度の変化など遺伝性に関する知見を明らかにします。


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水産生物学研究室
Laboratory for Aquatic Biology

〒631-8505
奈良市中町3327-204